お姫様に婚約者を~鍵を開けるとそこは異世界~
「ふぁー」
「おはよ。ローズ」
「おはよう・・・ってノア!」
てことは夢じゃないってことよね。
「あのさぁ。お前いい加減にしろよ!呼び捨てにすんな。」
「えっとー。なんかキャラ変わってない?」
「お前こそ。なんだよ。それが素?俺に優しくしてほしかったわけ?記憶なくしたふりまでしてさぁ。本っ当に迷惑。俺もさぁ暇じゃないんだよね。わかる?」
「だーかーらー嘘じゃないのあんたのことなんて知らないし、私はローズじゃないわ。
鈴城雷華よ!あんたこそ何?新手の詐欺?誘拐?あーわかった!お父さんの会社に買収されちゃった会社?悪いけど私を誘拐してもお金は一銭も入ってこないわよ。お父さんは私のことなんて・・・」
「なんて、何?」
「嫌いなんだから・・・」
「あっそう。まぁ、お前が本当にローズじゃないことは分かった。ローズはどんなに
怒っていても怒鳴ったりしない。」
「やっとわかってくれたわけね。それならさっさとうちに返して」
「無理」
「なっ!ふざけないでよ!私がどんな思いで頑張ってきたかあんたにわかるわけ?
お父さんに見捨てられないようにどんだけ我慢して努力しているのかあんたにわかっ/
「うるさい」
ノアがそう言った。次の瞬間、私の唇に柔らかいものが触れた。あの感触きっと私はノアにキスされたんだ。柔らかくて長いキス。背中に大きくて温かい手が回された。ノアは私を、強く強く抱きしめた。なんだか泣けてきて気づいたら涙が溢れて止まらなかった。ノアは泣いてる私を抱きしめて
「大丈夫。誰も見てない。」
って慰めた。
そこからは、私たちが恋人になるのに時間は掛からなかった。デートして美味しいもの食べて、舞踏会に参加して踊って、歌った。
「愛してる。雷華。」
最後に聞いた彼の言葉、声。
その日、私は元の世界に戻ってしまった。
そして、時々ふと思う。
ノアはローズと過ごしているのかしら。
キスしたり、抱きしめあったり、幸せに過ごしているのかな?って
もう会えない。だけどこれだけはわかる。
あれは夢じゃない。私の初恋だった。ノアは私のことを忘れただろうか。
私の「クセ」それは、考え出すと止まらないということだ。
ふわり。あの埃はどこからきて、どこへ行くのだろう。
あのカラスはどこへ帰るのだろう。
そして家の鍵を開けた。するとそこにはいないはずの「彼」がいた。
ノアだ。
「雷華。おかえり」
「ノア・・・」
きっと私は百点満点の笑顔で嬉しさのあまり涙を流しながら抱きついたのだろう。
私は、「ローズ」じゃなくて「雷華」で彼に会うことができた。
「こっちの方が何万倍もかわいいじゃないか。」
「ノアは相変わらずかっこいいね」
「それじゃあ。あらためて、俺の婚約者になってくれませんか」
あとがき
みなさん、こんにちは。鈴海星羅(すずみ せいら)です。
今回は完結してしまいました。ついつい書き始めたら終わってしまって・・・
これからもいろいろなジャンルで書いていこうと思います。
短編小説をたくさん書こうと思っているので、
少し時間があるときや暇だなぁと思ったとき、覗いてくれると嬉しいです!
次はなに書こうかな~
と、悩んでいるのでリクエストお待ちしています。
感想や、アドバイスも受け付けています!
また、お会いできるのを楽しみにしております。